ノイズ除去ソフトの使い方|録音後の歌ってみたで「消しすぎ」を防ぐ基本

ノイズ除去ソフトの使い方|録音後の歌ってみたで「消しすぎ」を防ぐ基本

歌を録り終えて聞き返すと、エアコンやパソコンのファンの「サー」「ブーン」という音が、うっすら入っていることがあります。録ったあとにその音を減らすのが、ノイズ除去ソフトです。この記事では、ソフトでの直し方と、かけすぎで音が悪くなる失敗の防ぎ方を、iZotope(アイゾトープ)の公式資料をもとにまとめます。

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目次

この記事の要点

  • ノイズ除去ソフトは、「ノイズだけが入っている部分」を聞かせて、その音の特徴を覚えさせ、減らす道具です。
  • ノイズだけの部分は、1秒以上(長いほどよい)用意します。
  • 消す量(リダクション)は、少しずつ上げます。強くしすぎると、かえって耳につく音が出ます。
  • 大きなノイズ対策は、録る前の対策が先です。原因は「録音のノイズの原因と対策」を見てください。

ノイズ除去ソフトをかける4つの手順の図
図:SoundBounty

ノイズ除去ソフトのしくみ

iZotope RXのVoice De-noise(ボイス・ディノイズ)は、声のノイズを減らすプラグインです。公式のユーザーガイドでは、音を64の帯域に分けて、それぞれの帯域に「しきい値」(これ以下はノイズとみなす音量)を決め、しきい値より小さい部分を小さくする仕組みと説明されています。声が出ている間は通し、ノイズだけの部分を下げる、いわば帯域ごとのゲートです。

同じRXのSpectral De-noise(スペクトラル・ディノイズ)は、少し違う方法です。ノイズの特徴(プロファイル)を学習して、それを音から引く方法で、エアコンやファン、テープのヒスノイズ、複雑なブーン音などに使えると説明されています。ブーンというハム音などの「音程のあるノイズ」と、サーという「ランダムなノイズ」を分けて、別々の量で減らせます。

ただし、Spectral De-noiseのプラグイン版は、Voice De-noiseより処理が重く、遅れ(レイテンシー)も大きいと説明されています。

出典:iZotope RX 12 ユーザーガイド(Voice De-noise、Spectral De-noise)

基本の手順

  1. ノイズだけの部分を探す:歌の前後や、歌と歌のあいだの休みなど、声が入っていない部分を探します。公式資料は、少なくとも1秒の「ノイズだけ」の部分を勧めています。Spectral De-noiseの説明では、できるだけ長い部分(数秒が目安)を選ぶとされています。
  2. Learn(学習)を押す:選んだ部分を再生して、ノイズの特徴を覚えさせます。長く聞かせるほど、しきい値が適切な位置に設定されます。
  3. リダクション(消す量)を決める:消す量を、少しずつ変えながら、聞いて決めます。iZotopeの資料は、やりすぎないよう注意しています。
  4. 前後の音と比べる:オン・オフを切り替えて、声の質が変わっていないかを確かめます。

録音中ずっと同じ音が鳴っているとき(エアコンなど)は、手動(Manual)で学習する方法が向いています。ノイズが時間とともに変わるときは、自動(Adaptive/Auto)で、ノイズの大きさに合わせて自動でしきい値を変えるモードがあります。

出典:iZotope RX 12 ユーザーガイド、iZotope Learn(Reducing Ambient Noise from Home Studio Recordings)

歌に使うときの設定

Voice De-noiseには、「Dialogue(話し声)向け」と「Music(音楽)向け」のモードがあります。公式のユーザーガイドによると、話し声向けはノイズの変化に速く反応するので、歌のような長く伸ばす音の処理には向いていません。音楽向けは、伸ばした音を下げにくく、歌に使うと自然に聞こえやすいと説明されています。歌ってみたでは、音楽向けから試すとよいかもしれません。

フィルターの種類(Filter Type)も選べます。Surgical(サージカル)はより多くのノイズを取れますが、音色が変わり、「ピヨピヨ」「水の中のような」音(ミュージカルノイズ)が残ることがあります。Gentle(ジェントル)は自然ですが、高い音の「シャリシャリ」感は取りにくいと説明されています。

出典:iZotope RX 12 ユーザーガイド(Voice De-noise)

かけすぎを防ぐコツ

iZotope Learnの記事では、次の4つのコツが紹介されています。

  • 少しずつかける:ノイズ除去で出る「あと味」のような音は、元のノイズより耳につくことがあります。強い1回より、弱めに複数回かけたほうが、結果がよくなることが多いと説明されています。
  • ハイパスフィルターを先にかける:声より低い音域には、ノイズや低いゴロゴロ音が多くあります。ノイズ除去の前にハイパスで低い音を切ると、ノイズ除去が声の音域のノイズに集中できます。
  • 休みの部分は別に強く消す:どうしても取れないノイズは、歌の休みの部分だけ、強めの設定で別に処理します。これで「水っぽい」音を避けられます。
  • オケと一緒に聞く:小さな音は、ほかの楽器が入ると聞こえなくなることがあります。曲の中で聞いて、消しすぎていないかを確かめます。

「水っぽい」「ピヨピヨする」といった音が出てきたら、消す量が多すぎるサインかもしれません。強く消すと、小さな音の声まで傷む、とも説明されています。

出典:iZotope Learn(Reducing Ambient Noise from Home Studio Recordings)、iZotope RX 12 ユーザーガイド(Spectral De-noise)

ソフトの選び方

ノイズ除去ソフトは、種類によって、得意なノイズや使いやすさが違います。各製品の特徴や対応を、「ノイズ除去ソフトのおすすめ比較」で比べています。

よくある質問

Q. ノイズ除去をかければ、録音のノイズ対策は不要ですか?

いいえ。ノイズ除去は、録ったあとの補助です。元のノイズが大きいほど、消す量が増えて、声にも影響が出やすくなります。マイクの位置や入力の大きさ、ノイズの出どころの対策が先です。

Q. 歌と歌のあいだにノイズが入っていない場合は?

学習に使える「ノイズだけの部分」がないときは、自動(Adaptive)のモードを使う方法があります。公式のユーザーガイドでは、Voice De-noiseの自動モードは、ノイズの大きさの変化に合わせて、しきい値を自動で変えると説明されています。

Q. 数字で決まった設定はありますか?

声やマイク、ノイズの種類によって変わるので、決まった数値は示していません。少しずつ変えながら、聞いて決めてください。

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