リミッターは、音が決めた上限を超えないように抑えながら、曲全体の音量を上げるプラグインです。歌ってみたや自作曲を配信するとき、最後の仕上げに使います。
配信サービスは曲の音量をそろえるため、上げすぎると逆に音が小さく感じられることもあります。音量の計測(ラウドネスメーター)や、音割れを防ぐトゥルーピークへの対応が大事です。
この一覧は、リミッター13製品を安全に音量を上げる・手早さ・音の性格の選択肢の3項目で比べたものです。点は「目的に対してどれだけ優れているか」を項目ごとの条件に当てはめて決めていて、根拠はメーカー公式の情報です。価格は点数に含めていません。
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目的別のおすすめ
- 配信の基準に合わせて細かく仕上げたいなら:Pro-L 2(ランクS)— トゥルーピーク・ラウドネスメーター・8種類のアルゴリズムがそろっています。
- AIに任せて手早く仕上げたいなら:smart:limit(ランクS)— AIが設定を作り、ラウドネスの情報もまとめて確認できます。
- 手ごろに試したいなら:pure:limit(ランクA)— 自動設定とつまみ2つで使えます。
ランクのティアリスト
ランクは、メーカー公式の機能・仕様をもとにした評価で、音質の優劣ではありません。同じ段の中は、点数の高い順です。根拠は評価の付け方にあります。
評価項目ごとのティア表
総合のランクが同じでも、項目ごとに強みは違います。表の見出しを押すと、その項目のランクが高い順に並べ替えられるので、ほしい機能で選ぶときに使ってください。
| 製品 | 総合 | 安全に音量を上げる音割れを防ぎ、配信の基準に合わせるための機能 | 手早さちょうどいい設定に速くたどり着けるか | 音の性格の選択肢リミッターのかかり方や音作りの幅 |
|---|---|---|---|---|
| S4.5 | STP・LUFS・32倍 | B音量をそろえて比較 | S8アルゴリズム | |
soniblesmart:limit | S4.5 | STP・LUFS・多段処理 | SAIで自動設定 | Bソフト/ハード |
Tokyo Dawn RecordsTDR Limiter 6 GE | S4.3 | STP・LUFS・処理の精度 | B音量をそろえて比較 | A6つのモジュール |
DMG AudioLimitless | S4.3 | STP・LUFS・64倍クリッパー | BSimple・Gain-lock | AStyle+ラウドネス重み付け |
Plugin Alliancebx_limiter True Peak | A4.0 | STP・LUFS・オーバーサンプリング | C標準 | A2スタイル+XL |
soniblepure:limit | A3.8 | Bトゥルーピーク | SAIで自動設定 | AStyle+Inflate |
VoxengoElephant | A3.8 | STP・LUFS・オーバーサンプリング | C標準 | B複数のモード |
EventideElevate | B3.3 | Bトゥルーピーク | B音量をそろえて比較 | Aアタック・クリッパー |
SonnoxOxford Limiter | B3.0 | Bトゥルーピーク | C標準 | AEnhance+アタック |
IK MultimediaStealth Limiter | B2.8 | Bインターサンプル対策 | C標準 | B4つのモード |
WavesL1 Ultramaximizer | C2.5 | Bトゥルーピーク | C自動リリース | C1種類 |
Slate DigitalFG-X 2 | C2.0 | C記載なし | BEasy画面・自動判断 | B4つのモード |
WavesL2 Ultramaximizer | C1.5 | C先読みのピーク制限 | C自動リリース | C1種類 |
列の見出しを押すと、その項目で並べ替えられます(もう一度押すと逆順)。各マスは、その項目の点(1〜5点)を、5点=S・4点=A・3点=B・2点以下=Cで表したものです。「—」は点のない項目です。メーカー公式の機能・仕様での評価で、音質の優劣ではありません。点の付け方は評価の付け方にあります。
点数順の主な製品
Pro-L 2ランクS
smart:limitランクS
TDR Limiter 6 GEランクS
LimitlessランクS
bx_limiter True PeakランクA
pure:limitランクA
ElephantランクA
ElevateランクB
Oxford LimiterランクB
この比較で点数が高い順に、最大9製品(シリーズは1つにまとめています)を並べています。画像はメーカー公式のプレス用画像で、ない製品は製品名のカードを表示しています。全体の順位とランクの根拠は、下のティア表と各製品のページにあります。
リミッターの選び方

図:SoundBounty
配信の音量に合わせやすいか
リミッターは曲の最後に使って、音割れさせずに音量を上げる道具です。配信サービスは音量をそろえるので、ラウドネスを測れるメーターや、音割れを防ぐトゥルーピーク機能があるものが安心です。
自動で設定してくれるか
AIが曲を聞いて設定を作ってくれる製品なら、どこまで音量を上げればいいか分からない人でも手早く仕上げられます。
音の性格を選べるか
リミッターのかかり方にはいくつかの種類があり、音の聞こえ方が少し変わります。曲に合わせて選べると、音量を上げても自然さを保ちやすくなります。
使い方は「ボーカルのコンプの使い方(リミッターとの違い)」で解説しています。
製品ごとのひとこと
Pro-L 2(ランクS)
8種類のリミッティングのアルゴリズムを持つトゥルーピーク・リミッターです。EBU R128などに対応したラウドネスメーター、最大32倍のリニアフェイズ・オーバーサンプリング、ディザー、Dolby Atmosまでのサラウンドに対応しています。配信の音量基準に合わせながら、リミッターの音の性格まで選びたい人に向いています。

画像:FabFilter公式プレスキットより
smart:limit(ランクS)
AIが曲を解析して、ジャンルに合ったリミッターの設定を数秒で作るプラグインです。ラウドネスやダイナミクスの情報をまとめて確認できるモニターと、ソフト・ハードを選べるStyleのつまみがあります。配信に向けた音量の仕上げを、AIの提案と分かりやすいメーターで進めたい人に向いています。

画像:sonible公式プレスキットより
TDR Limiter 6 GE(ランクS)
クリッパー、高域のリミッター、ピークリミッター、トゥルーピークの出力リミッターなど6つのモジュールを、好きな順番に並べて使えるリミッターです。EBU準拠のトゥルーピーク・ラウドネスメーターと、音量をそろえて聞き比べる機能があります。音量を上げる仕組みを自分で組み立てて、細かく仕上げたい人に向いています。

Limitless(ランクS)
6バンドのリニアフェーズのクロスオーバーで、ダイナミクスとトランジェントを分けて処理するマスタリング向けのリミッターです。インターサンプル(トゥルー)ピークの抑制と、EBU R128に沿ったラウドネスメーターがあります。仕上げの音量と質感を、細かく作り込みたい人に向いています。
bx_limiter True Peak(ランクA)
トゥルーピーク(サンプルとサンプルの間のピーク)まで抑えるために作られたBrainworx(Plugin Alliance)のリミッターです。ModernとClassicの2つのスタイル、XLサチュレーション、ラウドネスメーターがあります。配信サービスの基準(-1dBTPなど)に合わせて、安全に仕上げたい人に向いています。

画像:Plugin Alliance公式サイトの製品画像より
pure:limit(ランクA)
AIが自動で設定するシンプルなリミッターです。Styleの選択と、音を太くするInflateのつまみで音作りができます。手ごろな価格で、迷わず音量を仕上げたい人に向いています。

Elephant(ランクA)
リニアフェーズのオーバーサンプリングを内蔵した、マスタリング向けのリミッターです。カスタマイズできる複数のリミッターモード、EBU R128とK-systemのメーター、ディザーとDCオフセット除去があります。音のにごりを抑えて、仕上げの音量を上げたい人に向いています。
Elevate(ランクB)
人の耳の特性に合わせて帯域を分けて処理するマルチバンドのリミッターです。音のアタックを強めたり弱めたりする機能や、音色を変えずに歪ませるスペクトルクリッパーがあり、処理の前後を同じ音量で聞き比べられます。音量を上げながら、アタックや音のまとまりも整えたい人に向いています。

Oxford Limiter(ランクB)
トゥルーピークのリミッティングで、サンプルの間で起きる音割れ(インターサンプルピーク)を防ぐリミッターです。聞こえ方の音量感を上げるEnhanceセクションと、アタックを保つEnhanced Transient Controlがあります。音量を上げても、アタックや迫力を失いたくない人に向いています。

Stealth Limiter(ランクB)
サンプルの間で起きる音割れ(インターサンプルピーク)を抑えるリミッターです。入力と出力の上限を決めるだけのシンプルな操作で、処理の性格を変えるモードもあります。少ないつまみで、音割れを抑えながら音量を上げたい人に向いています。

画像:IK Multimedia公式サイトの製品画像(プレス向け)より
L1 Ultramaximizer(ランクC)
Wavesの、先読み(ルックアヘッド)のピークリミッターです。トゥルーピークの制限、オートリリース、IDRディザーとノイズシェーピングがあります。少ないつまみで、手早く音量を上げたい人に向いています。
FG-X 2(ランクC)
マスタリング向けのコンプ(FG-Comp)と、飽和とリミッティングを自動で使い分けるFG-Levelをまとめたプラグインです。4つのリミッターモードと、EasyとAdvancedの2つの画面があります。少ないつまみで、手早く音量の大きな仕上がりにしたい人に向いています。
L2 Ultramaximizer(ランクC)
先読みのブリックウォール・リミッターで音量を上げる、Wavesの定番のリミッターです。自動のリリース(ARC)と、ビット数を下げるときのディザーがあります。少ないつまみで、手早く音量を上げたい人に向いています。

よくある質問
Q. 音量はどこまで上げればいい?
配信サービスは大きすぎる曲の音量を下げます。上げすぎても大きく聞こえるわけではないので、ラウドネスメーターで目安を確認しながら上げるのが基本です。
Q. リミッターとコンプの違いは?
どちらも大きい音を抑えますが、リミッターは上限を超えないように強く抑える道具で、主に曲の最後の仕上げに使います。
Q. トゥルーピークとは?
デジタルの音をアナログに戻したときに、サンプルとサンプルの間で起きる音割れのことです。トゥルーピークを抑えられるリミッターなら、配信での音割れを防ぎやすくなります。
点数の付け方
点数の付け方(リミッター)
| 項目 | 使う数値 | 5点 | 4点 | 3点 | 2点 | 1点 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 安全に音量を上げる | 音割れを防ぎ、配信の基準に合わせるための機能 | トゥルーピークの制限・ラウドネスの計測・オーバーサンプリングがそろう | そのうち2つ | そのうち1つ | — | 公式ページに記載がない |
| 手早さ | ちょうどいい設定に速くたどり着けるか | AIが曲を解析して自動で設定する | — | プリセットや、音量をそろえて聞き比べる機能がある | 標準的な操作 | — |
| 音の性格の選択肢 | リミッターのかかり方や音作りの幅 | 8種類以上のアルゴリズムから選べる | スタイルの選択に加え、音量感やアタックを整える機能がある | スタイルを選べる | 1種類 | — |
歌ってみたや自作曲を、配信向けの音量に安全に仕上げるという目的に対して、どれだけ優れているかを項目ごとに1〜5点で決めています。点は上の表の条件に当てはめて付け、ランクを出す平均では「安全に音量を上げる」を2倍の重さで数えています。根拠はメーカー公式の情報です。音質やCPU負荷は実際に測っていないため点数には含めず、専門誌のレビューを記事の中で参考として紹介しています。価格は点数に含めません。メーカーや販売店の説明で確認できない機能は、ないものとして点数を付けています。 表の「OBS(配信)」は、配信ソフトOBS Studioで使えるVST2形式が公式ページに書かれているか(○)です。OBSはVST3形式に対応していません。点数には含めていません。
点数とランクの考え方は「評価の付け方」にまとめています。製品は順に追加していきます。
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LimitlessランクS