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FLUX::の「Ircam Trax」を紹介します。メーカーと国内代理店の公式情報をもとに、何ができる製品か、どう使うか、どんな人に向くかをまとめました(点数評価は付けていません)。
Three ingenious voice and sonic processors, Transformer, Cross Synthesis and Source Filter, for altering pitch, spectral timbre and duration to manipulate properties of a voice such as gender, age and breath.
—— FLUX::公式サイトより(原文)
Ircam Traxはどんな製品?
Ircam Traxは、フランスの音響研究機関IRCAMが長年培ってきた音の分析・合成の技術をもとにした、声と音の変形用プラグイン3本のセットです。Transformer、Cross Synthesis、Source Filterの3つが入っていて、音の高さ・音色(スペクトルの形)・長さといった性質を書き換えられます。
中心になるTransformerは、位相ボコーダーという手法を発展させたアルゴリズムを使い、声の性別・年齢・息づかいといった性質を動かすためのものです。声以外の楽器や混ぜた音楽にも使えるよう、Voice/Instrument/Musicの3つのモードが用意されています。
Cross Synthesisは2つの音のスペクトル(周波数ごとの強さの分布)を混ぜ合わせるモーフィング用、Source Filterは片方の音のエネルギーの流れと音色をもう片方の音に重ねるフィルタリング用です。どちらも2つの入力を使う設計で、いわゆるボコーダー的な使い方より幅のある変形をねらえると公式は説明しています。
公式ページによれば、声の変形アルゴリズムは国際的な映画制作でも使われた実績があります(作品名として『Farinelli』『Vatel』などが挙げられています)。ボーカルの加工、ナレーションの声質変更、効果音作りなどに向く、創作寄りのツールという位置づけです。
Transformer:声の性別・年齢・息づかいを動かす
声の音域や種類をTargetで選び、性別・年齢・息づかいといったパラメーターで変形します。声以外の素材ではピッチ、表現、フォルマントを動かせます。声質を大きく変えたい場面で使えるかもしれません。
Voice/Instrument/Musicの3モード
処理する素材に合わせてアルゴリズムの種類を切り替えます。Sourceでは処理する周波数範囲を決めることができ、学習(Learn)機能で素材を自動解析できます。
Remixとスペクトル包絡の再マッピング
処理した音の各成分を小さなミキサーで混ぜ直せます。さらに、スペクトル包絡を自由な曲線で描き直す複雑な変形もできます。
2つのモジュレーター
TransformerにはピッチとフォルマントをそれぞれLFOのように動かすモジュレーターがあり、表情のある変化を付けられます。ロボット的な揺れや、声のうねりを作りたいときの手がかりになるかもしれません。
Cross Synthesis:2つの音のスペクトルをモーフィング
位相ボコーダーで2つの音の振幅と周波数/位相のスペクトルを連続的に混ぜます。特徴量が非線形のため、変化も非線形になり、変わった効果音づくりに向くと公式は説明しています。
Source Filter:エネルギーと音色を分けて重ねる
音を時間エンベロープ(音量の輪郭)とスペクトルエンベロープ(音色)に分解し、フィルターとなる別の音のそれと連続的に混ぜます。Temporal Envelopeでチャンネル2のダイナミクスをどれだけ反映させるかも決められます。
A/Bスロットとモーフィング、最大8チャンネル
AとBに別の設定を入れて、スライダーでその間をなめらかに移動できます。Transformerは最大8チャンネルのマルチチャンネル処理に対応し、チャンネルごとに処理を外すこともできます。
仕様
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 種類 | ボイス/スペクトル変形プラグイン(Transformer・Cross Synthesis・Source Filterの3本組) |
| Transformerの入出力ゲイン | -60〜+18 dB |
| マルチチャンネル | Transformerは最大8チャンネル |
| プラグイン形式 | VST、AU、AAX Native(公式の対応表示による) |
| 対応OS | Windows 10/11(64bit)、macOS 10.14.6 Mojave以降(Apple Silicon M1〜M3対応)。使用にはiLok.comのアカウントが必要(iLok USBキーは不要) |
| ライセンス | 買い切り(Perpetual)またはサブスクのパック |
入っているもの・動作環境
- Transformer(リアルタイムの声・音の変形)
- Cross Synthesis(スペクトルのモーフィング)
- Source Filter(エネルギーと音色の重ね合わせ)
- Transformerの2バンドのハイパス/ローパスフィルター(入力側・出力側のどちらにも適用可)
- 動作環境:Windows 10/11(64bit)、macOS 10.14.6 Mojave以降(Apple Silicon M1〜M3対応)。使用にはiLok.comのアカウントが必要(iLok USBキーは不要)
- AとBの2つのプリセット/パラメーター枠と、その間を行き来するモーフィングスライダー(ホストのオートメーション対応)
- Open Sound Control(OSC)に対応
- ショップには30日間の無料トライアルの案内があります
使い方
- DAWのトラックにIrcam Traxのモジュール(まずはTransformer)をインサートする。
- Modeを素材に合わせてVoice・Instrument・Musicから選ぶ。
- Sourceで処理したい周波数範囲を設定する(Learn機能で自動解析もできる)。
- Targetで声の種類を選び、必要ならgender・age・breathを少しずつ動かす。
- Remixで処理後の成分のバランスを整え、Dry/Wetで元の音とのなじみを見る。
- 必要ならModulationsでピッチやフォルマントに揺れを付ける。
- Cross SynthesisやSource Filterを使うときは、2つ目の音を2チャンネル目に入力する。
- AとBに別の設定を保存し、モーフィングスライダーで変化を比べる。
ボーカル加工
歌声の性別感や年齢感を動かして、コーラスやキャラクターボイスの素材を作る使い方が考えられるかもしれません。
ナレーションやゲームのキャラクター声
1人の声から別の人物らしい声質を作る用途に向くかもしれません。フォルマントを動かすと印象が変わります。
効果音・サウンドデザイン
Cross SynthesisやSource Filterで2つの音を混ぜると、他では出しにくい質感の素材が得られるかもしれません。
映像のポストプロダクション
声質の調整や、マルチチャンネルでの処理が必要な場面で試す価値があるかもしれません。
こんな人におすすめ
- 声質を大きく変えるような創作的な加工をしたい人
- 効果音やキャラクターボイスを作りたい人
- 2つの音を混ぜる実験的な音作りに興味がある人
- 映像・ゲーム音声の制作で声の加工が必要な人
使う前に知っておきたい点
- 使用にはiLok.comのユーザーアカウントが必要です(iLok USBキーは不要)。
- Windowsは64bitのみ、グラフィックはOpenGL 2.0に対応したものが必要です。USB接続のディスプレイは非対応と公式の仕様に書かれています。
- FLUX::の通常ライセンスにはVS3(Pyramix/Ovation用)は含まれず、Merging Technologiesから別途入手する形です。
- Cross SynthesisとSource Filterは2つの入力(チャンネル)を使う前提の設計です。
- 購入は買い切りのほか、All Plugins Pack(月額14.95ドル)やComplete Pack(月額79.95ドル)のサブスクにも含まれます。
似た製品との違い
どちらがよいかは決めず、公式ページの数字を並べています。
FLUX:: Ircam Verb
Ircam Traxは声・音の変形用の3本組で、Transformerは最大8チャンネル、価格は399ドル。同じIRCAM由来のIrcam Verbはリバーブ/空間シミュレーションで最大16チャンネルに対応し、価格は199ドルです。
価格
$399(FLUX::公式サイト、2026-10-27確認)。地域やキャンペーンで変わることがあるため、購入前に公式ページで確かめてください。
サブスクではAll Plugins Pack(月額14.95ドル)とComplete Pack(月額79.95ドル)にも含まれます。
出典:flux.audio shop.flux.audio(2026-10-27確認)

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