Soundtoysのディレイプラグイン「PrimalTap」は、1978年登場のデジタルディレイ「Prime Time」をもとにした、2系統のディレイです。Multiplyで遅れの長さを倍にするとともに音質を荒くでき、VCO(揺れ)とFreezeで、ピッチが動くローファイなエコーやループを作れます。
ディレイは、やまびこのように音を遅らせて繰り返す道具です。歌やギターに広がりやリズム感を足すのに使います。
この記事では、ディレイプラグイン10製品と比べて、目的に対してどれだけ優れているかを3つの項目で評価しています。根拠はメーカー公式の情報です。
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図:SoundBounty
結論
PrimalTapは、ディレイプラグイン10製品の中でランクBです。ランクはS・A・B・Cの4段階で、Bは上から3番目にあたります。項目ごとの点数(5点満点)を平均すると3.0点です(目的にとって大事な1項目は、2倍の重みをつけた平均です)。
どの項目も、比べた製品の中で平均的な点数です。
こんな方にオススメ:80年代風の荒いデジタルディレイや、つまみで音が大きく変わる効果を試したい人。
PrimalTapの主な特徴
Multiplyで長さと音質が変わる
実機のPrime Timeは、メモリが高価だった時代の工夫として、遅れの長さを倍にするとサンプリング周波数が半分になる仕組みでした。PrimalTapのMultiplyもこれを再現し、長いエコーとひきかえに荒いローファイな音になります。再生中に回すと、ピッチが跳ぶ効果も作れるとメーカーは説明しています。
VCOで揺らす
VCO(電圧で周波数が変わる発振器)の部分で、エコーに揺れや動きを足せます。コーラスのような効果から、テープのようなフランジャー、ピッチがゆっくりずれるエコーまで作れます。実機と違い、Rateを音の高さの範囲まで上げて、ロボットのような効果も作れます。
Freezeでループ
Freezeボタンで、入ってきた音の一部を取り込んでループさせます。テンポに合わせても、好きな長さにもできます。TimeやVCOを動かすと、ピッチが歪んだ効果音になります。
2系統のディレイとLittle PrimalTap
2つの独立したディレイを、それぞれテンポ同期できます。1系統だけのシンプルなLittle PrimalTapも付属します。
公式動画:soundtoys公式YouTubeチャンネル「PrimalTap – Stutter Loop Tutorial」(英語) YouTubeで見る
こんな場面で役立ちます
- ボーカルの語尾に、荒くて短い80年代風のエコーを足す
- Freezeでループを作り、イントロやブレイクの効果にする
- VCOを深くして、ギターに揺れるエコーを足す
項目ごとの評価
音の質感:3点/5点
テープやアナログ機材のような温かい音など、繰り返す音の質感を選べるかを見ています。
Prime Timeをもとにしたビンテージのデジタルディレイの音です。テープ風など、ほかの音色への切り替えはありません。
リズム・広がり:3点/5点
左右に跳ねる、何回も違う間隔で繰り返すなど、リズムや広がりを作れるかを見ています。
独立した2系統のディレイがあり、それぞれ音符の長さかミリ秒で、テンポに同期できます。
なじませやすさ:3点/5点
繰り返す音が歌の邪魔にならないように調整できるか(歌っている間は小さくするなど)を見ています。
VCO(揺れ)で、コーラスのような効果から変わった効果まで作れます。
点数の付け方(ディレイプラグイン)
| 項目 | 使う数値 | 5点 | 4点 | 3点 | 2点 | 1点 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 音の質感 | ボーカルになじむ温かさ・色付けの選択肢 | 多くのビンテージ機材のスタイルから選べる | テープ風の音に加え、ほかの色付けも選べる | テープ風かビンテージ風のどちらか | クリアなデジタルの音のみ | — |
| リズム・広がり | ピンポン・複数タップ・テンポ同期など | 複数タップのリズム編集とピンポン、またはそれ以上がそろう | 複数タップとピンポン | ピンポンかテンポ同期のどちらか | — | 公式ページに記載がない |
| なじませやすさ | 歌の邪魔をしないための調整 | ダッキングとディレイ音のフィルターがある | フィルターとサチュレーションなど、調整が2つ以上 | 調整が1つ | — | 公式ページに記載がない |
ボーカルに奥行きや余韻を足すという目的に対して、どれだけ優れているかを項目ごとに1〜5点で決めています。点は上の表の条件に当てはめて付け、ランクを出す平均では「音の質感」を2倍の重さで数えています。根拠はメーカー公式の情報です。音質やCPU負荷は実際に測っていないため点数には含めず、専門誌のレビューを記事の中で参考として紹介しています。価格は点数に含めません。メーカーや販売店の説明で確認できない機能は、ないものとして点数を付けています。 表の「OBS(配信)」は、配信ソフトOBS Studioで使えるVST2形式が公式ページに書かれているか(○)です。OBSはVST3形式に対応していません。点数には含めていません。
PrimalTapの対応環境と始め方
| 対応OS | Windows 10以降(ARMのWindowsは非対応)/Mac(macOS 10.15以降、Apple Silicon対応) |
|---|---|
| プラグインの形式 | VST2・VST3・AU・AAX(64ビット) |
| 体験版 | 無料体験版あり(メーカーのサイト) |
| OBS(配信) | そのまま使えます(VST2の記載あり) |
メーカー公式ページで2026年10月17日に確認しました。配信ソフトOBSでの使い方は「OBSでVST3プラグインを使うには?」で解説しています。
ほかのディレイプラグインとの比較
見出しを押すと並べ替えできます。スマホでは表を横にスクロールできます。
| 製品 | ランク平均点 | 音の質感 | リズム・広がり | なじませやすさ | 無料 | OBS(配信) | 価格(店・確認日) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| FabFilterTimeless 3 | S 4.5 | テープ+5つの効果 | 16タップ+ピンポン | ダッキング+フィルター | — | ○ | ¥25,970 [PB・10月26日確認] |
| SoundtoysEchoBoy | S 4.8 | 30スタイル | リズム編集+ピンポン | フィルター+サチュレーション | — | ○ | ¥34,680 [PB・10月26日確認] |
| MeldaProductionMDelay | A 4.0 | テープ+モダン | 2タップ+ピンポン | フィルター+歪み | 無料 | ○ | 記載なし |
| Native InstrumentsREPLIKA | A 3.8 | モダン+ビンテージ | ピンポン+テンポ同期 | フィルター+サチュレーション | 無料 | ○ | 記載なし |
| EventideUltraTap | B 3.3 | クリア | 64タップ | Tone+Slurm | — | ○ | ¥16,500 [PB・10月26日確認] |
| Valhalla DSPValhallaDelay | S 4.5 | 17モード | 4タップ+ピンポン | ダッキング等 | — | ○ | $50 [公式・10月26日確認] |
| ArturiaDelay TAPE-201 | A 4.0 | テープ+リバーブ | 3ヘッド+ピンポン | EQ+LFO+サチュレーション | — | 未確認 | $79 [公式・10月26日確認] |
| ArturiaDelay MEMORY-BRIGADE | B 3.3 | BBD(アナログ) | ピンポン+テンポ同期 | EQ+エンベロープ+LFO | — | 未確認 | 約$54.92 [公式・10月26日確認] |
| WavesH-Delay | A 3.8 | アナログ4種+デジタル | テンポ同期 | フィルター+モジュレーション | — | △(Waves公式のStudioRack経由) | 記載なし |
| SoundtoysPrimalTap | B 3.0 | ビンテージのデジタル | 2系統+テンポ同期 | VCOの揺れ | — | ○ | $99 [公式・10月26日確認] |
機能は2026年9月25日に各メーカーの公式サイトで確認。価格は購入ボタンの先の販売ページで確認してください。
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