ディエッサーは、「さしすせそ」などの耳に刺さる音(歯擦音)を抑えるプラグインです。歌ってみたでは、コンプやEQで声を明るくしたときに目立ちやすい歯擦音を整えるのに欠かせません。
決まった帯域の音量を下げる昔ながらの方法から、AIが子音を1つずつ見分けるものまで、仕組みは製品によって大きく違います。
この一覧は、ディエッサー12製品を自然な抑え方・手早さ・応用の広さの3項目で比べたものです。点は「目的に対してどれだけ優れているか」を項目ごとの条件に当てはめて決めていて、根拠はメーカー公式の情報です。価格は点数に含めていません。
※本ページはアフィリエイトプログラムを利用しています。価格は確認日時点のもので、変動する場合があります。
目的別のおすすめ
- 設定に悩まず自然に抑えたいなら:smart:deess(ランクS)— AIが子音を1つずつ見分けて、自動で設定します。
- 声のキンキンした響きもまとめて抑えたいなら:Soothe3(ランクS)— 歯擦音だけでなく耳障りな響き全般を自動で抑えます。
- 自分で細かく決めたいなら:Pro-DS(ランクA)— スプリットバンドやM/Sなど、抑え方を細かく決められます。
- 手ごろに試したいなら:pure:deess(ランクA)— つまみ1つで使えるAIのディエッサーです。
ランクのティアリスト
ランクは、メーカー公式の機能・仕様をもとにした評価で、音質の優劣ではありません。同じ段の中は、点数の高い順です。根拠は評価の付け方にあります。
評価項目ごとのティア表
総合のランクが同じでも、項目ごとに強みは違います。表の見出しを押すと、その項目のランクが高い順に並べ替えられるので、ほしい機能で選ぶときに使ってください。
| 製品 | 総合 | 自然な抑え方声の質を変えずに歯擦音だけを抑える仕組み | 手早さちょうどいい設定に速くたどり着けるか | 応用の広さ吹かれ・耳障りな響き・ステレオ・録音中の使用など |
|---|---|---|---|---|
soniblesmart:deess | S4.5 | S子音ごと+スペクトル | SAIで自動設定 | B吹かれも |
oeksoundSoothe3 | S4.3 | A共振を自動で抑制 | ASoftモード | S響き全般・遅れなし |
SonnoxOxford SuprEsser | A4.0 | AダイナミックEQ | A自動で追従 | ASC試聴・低遅延 |
AntaresVocal De-Esser | A4.0 | AAIで見分ける | Sボタンで処理 | Bライブ・会話にも |
DMG AudioEssence | A4.0 | AスプリットEQ+2系統のリリース | A3つのつまみ+自動検出 | AM/S・ゼロレイテンシー・全体にも |
| A3.8 | Aスプリットバンド | Bボーカル用モード | AM/S・ほかの素材 | |
soniblepure:deess | A3.8 | AAIで声を学習 | S自動+つまみ1つ | C歯擦音専用 |
Plugin Alliance(SPL)SPL De-Esser Collection | A3.8 | A歯擦音の帯域だけを打ち消す | AAuto-Threshold+自動検出 | BM/Sモード |
Slate Digitale2deesser | A3.8 | A歯擦音の周波数を自動検出 | A2つのつまみ+自動検出 | B打楽器にも |
Harrison ConsolesHarrison De-Esser | A3.5 | A歯擦音だけを見分けて帯域を下げる | C標準 | Aゼロレイテンシー+バンドソロ |
WavesRenaissance DeEsser | B3.3 | Aスプリットバンド | C標準 | Bサイドチェインの試聴 |
WavesSibilance | B3.3 | A成分ごとの再合成 | C標準 | Bゼロレイテンシー版 |
列の見出しを押すと、その項目で並べ替えられます(もう一度押すと逆順)。各マスは、その項目の点(1〜5点)を、5点=S・4点=A・3点=B・2点以下=Cで表したものです。「—」は点のない項目です。メーカー公式の機能・仕様での評価で、音質の優劣ではありません。点の付け方は評価の付け方にあります。
点数順の主な製品
smart:deessランクS
Soothe3ランクS
Oxford SuprEsserランクA
Vocal De-EsserランクA
EssenceランクA
Pro-DSランクA
pure:deessランクA
SPL De-Esser CollectionランクA
e2deesserランクA
この比較で点数が高い順に、最大9製品(シリーズは1つにまとめています)を並べています。画像はメーカー公式のプレス用画像で、ない製品は製品名のカードを表示しています。全体の順位とランクの根拠は、下のティア表と各製品のページにあります。
ディエッサーの選び方

図:SoundBounty
自動で任せるか、自分で決めるか
ディエッサーには、AIが子音を見分けて自動で抑えるものと、抑える帯域や量を自分で決めるものがあります。設定に慣れていない人は自動のもの、仕上がりを細かく決めたい人は手動で調整できるものが向いています。
抑え方の自然さ
歯擦音だけを狙って抑えられるほど、声全体がこもりにくくなります。帯域を分けて処理する方式や、音の変化に合わせて動く方式など、自然さを保つ仕組みがあるかを見てください。
歯擦音以外にも使うか
耳に刺さる響き全般を抑えるタイプなら、歯擦音だけでなく、声のキンキンした響きやシンバルの耳障りな音にも使えます。1本でいろいろ使いたい人は、この点も確認してください。
使い方は「歌ってみたMIXのプラグインの順番」、「ボーカルのディエッサーの使い方」で解説しています。
製品ごとのひとこと
smart:deess(ランクS)
AIがS・Z・Sh・Ch・T・Pなどの子音を1つずつリアルタイムで見分け、歯擦音と吹かれ(破裂音)を抑えるディエッサーです。音量を下げるだけでなく、スペクトルの処理で耳障りな音の形を整えます。歯擦音と吹かれを、設定に悩まず自然に抑えたい人に向いています。

画像:sonible公式プレスキットより
Soothe3(ランクS)
耳障りな共振(こもりやキンキンした響き)をその場で見つけて自動で抑えるプラグインです。歯擦音にも使え、遅れなし(ゼロレイテンシー)で録音中にも使えます。歯擦音だけでなく、声やマイクのキンキンした響き全体を自然に抑えたい人に向いています。

画像:oeksound公式サイトの製品画像より
Oxford SuprEsser(ランクA)
ダイナミックEQの仕組みで、問題の周波数だけを必要なときに抑えるディエッサーです。声の大きさの変化に合わせてしきい値が動くFloating Threshold、サイドチェインEQとその試聴、低遅延・標準・高解像度の3つのモードがあります。ささやきから叫びまで音量差の大きい歌を、自然に処理したい人に向いています。

Vocal De-Esser(ランクA)
AIで歯擦音を見分けるボーカル用のディエッサーです。やわらかい歯擦音(S・Sh・Z)と硬い歯擦音(T・Ch・K)を分けて調整できます。AutoTuneと同じメーカーでそろえたい人、柔らかい子音と硬い子音を分けて抑えたい人に向いています。

画像:Antares公式プレスキットより
Essence(ランクA)
ミックスの中の歯擦音を、帯域を分けて自然に抑えるディエッサーです。ボーカルだけでなく、ミックス全体にも使えるとメーカーは説明しています。M/SとL/R処理、サイドチェインEQ、ゼロレイテンシーのモードがあります。歯擦音を自然に抑えたい人や、マスタリングでも使いたい人に向いています。
Pro-DS(ランクA)
ボーカルの歯擦音を見分ける「Single Vocal」検出で、歯擦音を目立たないように抑えるディエッサーです。全帯域とリニアフェイズのスプリットバンド処理を選べ、ドラムやミックス全体の高域を抑える「Allround」モードもあります。歯擦音の抑え方を自分で細かく決めたい人。ボーカル以外にも使いたい人に向いています。

画像:FabFilter公式プレスキットより
pure:deess(ランクA)
AIが声の歯擦音の特徴(ボイスプリント)を数秒で学び、自動で設定するシンプルなディエッサーです。Suppressionのつまみと、Soft・Balanced・Sharpの音色の選択で調整します。手ごろな価格で、つまみ1つで歯擦音を抑えたい人に向いています。

画像:sonible公式プレスキットより
SPL De-Esser Collection(ランクA)
SPLのアナログ機材のディエッサー2種(シングルバンドとデュアルバンド)を再現したコレクションです。歯擦音の周波数を自動で見つけるAuto Dynamic De-Esserの方式と、自動で調整するAuto-Threshold、男声用・女声用のアルゴリズム、M/Sモードがあります。設定に迷わず、声の質を保ったまま歯擦音を抑えたい人に向いています。
e2deesser(ランクA)
歯擦音の周波数を自動で見つけて下げる、2つのつまみが中心のディエッサーです。検出した歯擦音のスペクトル表示があり、ボーカルからドラムのオーバーヘッドまで多くのプリセットが入っています。少ないつまみで、素早く歯擦音を抑えたい人に向いています。
Harrison De-Esser(ランクA)
ハリソンの第4世代のディエッシング・アルゴリズムを使ったディエッサーです。「サ行」の帯域と高域のシェルフを、画面のグラフでまとめて操作でき、ゼロレイテンシーで動きます。歯擦音の帯域をグラフで見ながら、すばやく決めたい人に向いています。
Renaissance DeEsser(ランクB)
「サ行」の刺さる音を抑えるWavesのディエッサーです。帯域全体を下げるモードと、歯擦音の帯域だけを下げるスプリットモード、サイドチェインの試聴があります。定番の操作で、歯擦音を細かく決めて抑えたい人に向いています。

Sibilance(ランクB)
音を基本の成分に分けてから処理する、Wavesのディエッサーです。「サ行」の成分だけを下げ、高域の明るさを残すことをねらっています。ゼロレイテンシー版も入っています。声の明るさを残して、歯擦音を抑えたい人に向いています。
よくある質問
Q. ディエッサーはいつ使いますか?
EQで声を明るくしたり、コンプで音量をそろえたりすると、「さしすせそ」が目立ちやすくなります。そうした処理のあと、歯擦音が耳に刺さると感じたときに使います。
Q. かけすぎるとどうなりますか?
歯擦音を抑えすぎると、舌足らずのような声になったり、言葉が聞き取りにくくなったりします。元の声と聞き比べながら、刺さりがなくなる程度にとどめてください。
Q. EQで高音を下げるのとは何が違う?
EQは常に同じだけ高音を下げますが、ディエッサーは歯擦音が出た瞬間だけ働きます。そのため、声の明るさを保ったまま刺さりだけを抑えられます。
点数の付け方
点数の付け方(ディエッサー)
| 項目 | 使う数値 | 5点 | 4点 | 3点 | 2点 | 1点 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 自然な抑え方 | 声の質を変えずに歯擦音だけを抑える仕組み | AIが子音を1つずつ見分け、音量だけでなくスペクトルで形を整える | 問題の帯域だけに働く仕組み(スプリットバンド・ダイナミックEQ・共振の抑制・AIの学習など)がある | 帯域を決めて全体の音量を下げる一般的な方法 | — | — |
| 手早さ | ちょうどいい設定に速くたどり着けるか | 読み込むだけでAIが自動で設定する | 声の音量の変化に自動で追従したり、少ない操作でほとんど済む | ボーカル用のモードで設定しやすい | 標準的な操作 | — |
| 応用の広さ | 吹かれ・耳障りな響き・ステレオ・録音中の使用など | 耳障りな響き全般に使え、M/S処理や遅れなしの動作にも対応 | M/S・サイドチェインの試聴・低遅延・ほかの素材への使用などのうち2つ以上 | 吹かれなど、歯擦音以外にも1つ使える | 歯擦音専用 | — |
歌ってみたのボーカルの歯擦音を自然に抑えるという目的に対して、どれだけ優れているかを項目ごとに1〜5点で決めています。点は上の表の条件に当てはめて付け、ランクを出す平均では「自然な抑え方」を2倍の重さで数えています。根拠はメーカー公式の情報です。音質やCPU負荷は実際に測っていないため点数には含めず、専門誌のレビューを記事の中で参考として紹介しています。価格は点数に含めません。メーカーや販売店の説明で確認できない機能は、ないものとして点数を付けています。 表の「OBS(配信)」は、配信ソフトOBS Studioで使えるVST2形式が公式ページに書かれているか(○)です。OBSはVST3形式に対応していません。点数には含めていません。
点数とランクの考え方は「評価の付け方」にまとめています。製品は順に追加していきます。






EssenceランクA