歌ってみたの歌を聞き返すと、「サ行」や「タ行」だけが耳に刺さることがあります。この刺さりを抑えるのが、ディエッサーです。この記事では、ディエッサーのしくみと使い方の基本を、FabFilterの公式資料をもとに解説します。
※本記事はアフィリエイトプログラムを利用しています。価格は記事の確認日時点のもので、変動する場合があります。
この記事の要点
- ディエッサーは、「サ行」の刺さり(歯擦音)が出たときだけ、音を抑える道具です。
- 歯擦音は、コンプやサチュレーションをかけたあとに、強くなりやすいです。
- ディエッサーは、コンプのあとに置くのが一般的です。
- 検出する範囲、スレッショルド、レンジの3つを決めます。
- かけすぎないように、オン・オフで聞き比べます。

図:SoundBounty
歯擦音とは
歯擦音(しさつおん)は、「サ行」や「タ行」を歌うときに出る、息がこすれる高い音です。「s」や「t」の音とも言います。
FabFilterは、歯擦音を6〜9kHzあたりの帯域にある音と説明しています。聞き取りやすさに必要ですが、強すぎると耳に刺さります。マイクを口の近くに置いて録ると、この帯域が強くなりやすいとも説明されています。
また、FabFilterのPro-DSのヘルプでは、普通の声の「s」の音は、おおよそ8〜10kHzあたりにあるとされています。資料によって表現が少し違うので、帯域は探すときの目安にしてください。
出典:FabFilter Learn、FabFilter Pro-DS ヘルプ
歯擦音が強くなる理由
いい機材で録っても、歯擦音は強くなることがあります。FabFilterは、コンプ、サチュレーション、リミッターなどの処理のあとに、「s」や「t」の音が目立ちすぎることがあると説明しています。
コンプは、声をそろえるために、小さい音を持ち上げます。そのとき、小さかった歯擦音も持ち上がって、目立ちやすくなります。そのため、ディエッサーは、コンプのあとに置くことが多いです。順番の全体は「歌ってみたMIXのプラグインの順番」で解説しています。
EQで削るのとの違い
EQで高い音を削ると、歯擦音が出ていないときも、高い音が下がります。声が暗くなりやすいのが欠点です。
ディエッサーは、歯擦音が出たときだけ、音を抑えます。FabFilterは、Pro-DSを、歌の歯擦音を自然に抑える道具として紹介しています。EQの使い方は「ボーカルEQのかけ方」をご覧ください。
基本の3つの設定
つまみの名前や数は、製品によって違います。ここでは、FabFilter Pro-DSの説明書を例に、基本の考え方をまとめます。
1. 検出する範囲を決める
ディエッサーは、決めた範囲の高い音の大きさを見て、動き始めます。Pro-DSでは、ハイパスとローパスのスライダーで、検出する範囲を決めます。範囲は2kHz〜20kHzの間で選べます。
範囲が合っていないと、歯擦音以外の音にも反応してしまいます。検出に使っている音だけを聞ける「Audition Sidechain」というボタンがあり、探すときに便利です。
2. スレッショルドを決める
スレッショルドは、どれくらい大きい音から動き始めるかを決めるつまみです。低くしすぎると、歯擦音以外にも反応します。
Pro-DSには、どこで動いているかを聞ける「Audition Triggering」ボタンがあります。必要な歯擦音だけに反応するように、聞きながら決めます。
3. レンジを決める
レンジは、どれくらい抑えるかの上限を決めるつまみです。Pro-DSでは、動きで決まる抑える量を、望む範囲に収める役目があります。まず少なめにして、足りなければ増やします。
声のためのモードと先読み
Pro-DSには、1本の歌のためのモード「Single Vocal」があります。歯擦音を、そうでない音と見分ける仕組みが働きます。ミックス全体のためのモードは別にあります。歌ってみたの歌1本には、1本用のモードが向いています。
処理のしかたには、全体の音量を下げる「Wide Band」と、高い音だけを下げる「Split Band」があります。歌1本では、Wide Bandでも自然に聞こえることが多いと説明されています。
「先読み」は、歯擦音が始まる少し前から、抑え始める機能です。歌では、10ミリ秒くらいがよいことが多いとされています。FabFilterのヘルプには、歯擦音の頭を少し残したほうが、自然な「s」の音を保てる、と書かれています。
公式動画:FabFilter公式YouTubeチャンネル「Introduction to FabFilter Pro-DS Intelligent De-esser」(英語の解説) YouTubeで見る
かけすぎを防ぐコツ
- オン・オフで聞き比べる:かけたほうが、歌詞が聞き取りやすいかを確かめます。
- オケと一緒に聞く:歌だけで聞くと、刺さりが強く感じて、かけすぎやすくなります。
- 歯擦音の頭を少し残す:先読みの値は、聞き比べながら決めます。
- 決まった数字はありません:声やマイクで変わるので、聞いて決めてください。
有料のディエッサーのおすすめ(通常価格の安い順)
公式情報をもとにした点数つきの比較は「ディエッサーのおすすめ比較」にまとめています。ここでは、Plugin Boutiqueで買える製品を、通常価格の安い順に並べます。通常価格は、2026年9月25日・27日にPlugin Boutique(日本円表示)で確認した価格です。セール中のものも、セール価格ではなく通常価格を書いています。
公式動画:Waves公式YouTubeチャンネル「Smoothen the Top End of Vocals with Waves R-DeEsser」(英語の解説) YouTubeで見る
- pure:deess(ランクA・通常価格¥6,790):Plugin Boutiqueで見る
- Renaissance DeEsser(ランクB・通常価格¥17,250):Plugin Boutiqueで見る
- smart:deess(ランクS・通常価格¥22,480):Plugin Boutiqueで見る
- Pro-DS(ランクA・通常価格¥34,680):Plugin Boutiqueで見る
- Oxford SuprEsser(ランクA・通常価格¥42,530):Plugin Boutiqueで見る
この記事で例にしたFabFilter Pro-DSは、次のとおりです。
- 仕様の最終確認日
- 2026/09/25
- 自然な抑え方
- スプリットバンド
- 手早さ
- ボーカル用モード
- 応用の広さ
- M/S・ほかの素材
- 価格(店・確認日)
- ¥34,680 [PB・10月26日確認]
画像:FabFilter公式プレスキットより
セール中のディエッサーがあるときは、「もうすぐ終わるDTMセール・無料配布」や「開催中のDTMセール・無料配布まとめ」で見られます。入れ方と認証は「セールや無料プレゼントで買ったプラグインのインストール方法」で解説しています。
よくある質問
Q. ディエッサーは、必ず必要ですか?
必要ありません。歯擦音が気にならないなら、かけなくて構いません。刺さりが気になったときに使うのが基本です。
Q. EQだけで、歯擦音は抑えられますか?
EQでも抑えられますが、歯擦音が出ていないときも高い音が下がります。歯擦音だけを抑えたいなら、ディエッサーが向いています。
Q. 無料のディエッサーはありますか?
このサイトで比べた製品の中に、無料のディエッサーはありません。無料で試せるプラグインは「歌ってみたMIXに使える無料プラグイン」にまとめています。
Q. 数字で決まった設定はありますか?
声やマイク、曲によって変わるので、決まった数値は示していません。ボタンで聞き分けながら、決めてください。


コメント