FabFilterのEQプラグイン「Pro-Q 4」は、最大24バンドのEQで、ダイナミックEQ(音が大きくなったときだけ効くEQ)・スペクトラル・ダイナミクス(細かい音の高さごとに、出すぎたときだけ抑える処理)、リニアフェイズ/ゼロレイテンシー/Natural Phaseの切り替え、EQマッチなどを1本にまとめた製品です。
EQ(イコライザー)は、音の低い・高い成分の量を調整する道具です。こもった声をすっきりさせたり、耳に痛い音を抑えたりするのに使います。
この記事では、EQプラグイン15製品と比べて、目的に対してどれだけ優れているかを3つの項目で評価しています。根拠はメーカー公式の情報です。
※本記事はアフィリエイトプログラムを利用しています。価格・セールの情報は記事の確認日時点のもので、変動する場合があります。
- 仕様の最終確認日
- 2026/09/25
- 問題の帯域への対処
- ダイナミック+スペクトル
- 手早さ
- EQマッチ+補助
- ステレオ処理
- M/S+サラウンド
- 価格(店・確認日)
- ¥34,680 [PB・10月26日確認]
画像:FabFilter公式プレスキットより
結論
Pro-Q 4は、EQプラグイン15製品の中でランクSです。ランクはS・A・B・Cの4段階で、Sはいちばん上にあたります。項目ごとの点数(5点満点)を平均すると4.5点です(目的にとって大事な1項目は、2倍の重みをつけた平均です)。
得意なこと
- 問題の帯域への対処(5点):気になる音だけを狙って抑える仕組みがあり、問題のある音をピンポイントで直しやすいです。
- 手早さ(4点):設定を早く決めるための補助機能があり、EQに慣れていなくても始めやすいです。
- ステレオ処理(4点):真ん中の歌と左右に広がる伴奏を分けて整えられます。
こんな方にオススメ:1本のEQでミックスからマスタリング、問題のある帯域の処理まで幅広くこなしたい人。
Pro-Q 4の主な特徴
気になる音だけを抑えるスペクトラル・ダイナミクス
Pro-Q 4の新しい機能で、決めた範囲(バンド)の中で、決めた大きさを超えた細かい音の高さだけに反応して抑えます。ふつうのダイナミックEQはバンド全体の音量を下げますが、こちらは範囲の中のほかの音には触れません。歌が張ったときに一瞬だけ出るキンキンした響きのように、出たり消えたりする問題の音を、声全体の明るさを保ったまま抑えたいときに役立ちます。比べた15製品のEQのうち、この仕組みを備えているのはPro-Q 4の1製品です。
全バンドで使えるダイナミックEQ
最大24個のバンドのどれでも、音が大きくなったときだけ効く「ダイナミックEQ」に切り替えられます。効き始めと戻りの速さ(アタック・リリース)も調整でき、ほかのトラックの音をきっかけにして動かすこともできます。たとえば、ボーカルが入っているときだけ伴奏の同じ音域を少し下げる、といった使い方ができます。
カーブを描くだけで始められるEQ Sketch
画面上で思い描いたEQのカーブを一筆書きのように描くと、それに合わせたバンドがまとめて作られます。低音を削る・中音を少し下げる・高音を持ち上げる、といったはじめの下ごしらえを、バンドを1つずつ足さずに済ませられます。EQの細かい操作に慣れていない人でも、形から入れるのが特長です。
お手本に近づけるEQ Matchと、山をつかんで直すSpectrum Grab
EQ Matchは、別のトラックや外から入れた音の周波数のバランスを読み取り、それに近づけるカーブを自動で作る機能です。Spectrum Grabは、画面に表示される音の山(アナライザー)を直接つかんで上下させるだけで、その音を調整できる機能です。「どこを動かせばいいか分からない」という悩みを、目で見ながら解決しやすくなっています。
3つの処理方式と、1つの画面で全部のEQを操作できるInstance List
音の遅れが出ないゼロレイテンシー、タイミングのずれを出さないリニアフェイズ、FabFilter独自のNatural Phaseの3つから処理方式を選べます。録音しながら使うときは遅れの出ない方式、仕上げの段階では音質重視の方式、と使い分けられます。また、曲の中で使っている別のPro-Q 4(とPro-C 3などの同社製品)を1つの画面から一覧・操作できるので、トラックが多い曲でも設定を行き来しやすくなっています。
公式動画:FabFilter公式YouTubeチャンネル「Introduction to FabFilter Pro-Q 4」(英語) YouTubeで見る
こんな場面で役立ちます
- 歌ってみたのボーカルで、こもった低音を削り、張ったときだけ出る耳に痛い響きを抑える
- ボーカルが入っている間だけ、伴奏の同じ音域を少し下げて歌を聞き取りやすくする
- お手本の曲の音のバランスを読み取って、自分のミックスの仕上げの参考にする
項目ごとの評価
問題の帯域への対処:5点/5点
こもった音や耳に痛い音など、気になる音だけを狙って直せるかを見ています。
全バンドでダイナミックEQが使え、帯域の中で特定の周波数だけに反応するスペクトラル・ダイナミクスもあります。
手早さ:4点/5点
ちょうどいい設定に早くたどり着ける仕組み(自動の設定・お手本の音に合わせる機能など)があるかを見ています。
EQマッチ(お手本の音に近づけるEQを自動で作る機能)、アナライザーの山をつかんで調整するSpectrum Grab、トラック間のかぶりを見つける機能があります。AIの自動設定はありません。
ステレオ処理:4点/5点
真ん中の音(歌など)と左右に広がる音を分けて調整できるかを見ています。
バンドごとのMid/Side(真ん中と左右の音を分ける方式)処理とDolby Atmosまでのサラウンドに対応しています。
点数の付け方(EQプラグイン)
| 項目 | 使う数値 | 5点 | 4点 | 3点 | 2点 | 1点 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 問題の帯域への対処 | こもり・耳に痛い音などを狙って抑える力 | ダイナミックEQに加え、帯域の中の特定の周波数だけに反応する処理がある | ダイナミックEQ(音量に応じてかかる)か、アタックと伸びる音を分けて処理できる | バンド数が多い、またはリニアフェイズなど処理の質を選べる静的なEQ | 少ないバンドの静的なEQ | — |
| 手早さ | 設定を速く決める仕組み | AIが音に合わせてバランスを自動で整え、トラック間のかぶりも減らせる | 自動のEQ設定かEQマッチに加え、ほかの補助がある | EQマッチなど、補助が1つある | アナライザー(音の見える化)のみ | 補助の記載がない |
| ステレオ処理 | 中央と左右の広がりなどを分けて処理できるか | M/S・左右別・サラウンドに対応 | M/Sに加えて、左右別かサラウンドに対応 | M/Sのみ | — | 公式ページに記載がない |
ミックスでボーカルやオケの音のバランスを整えるという目的に対して、どれだけ優れているかを項目ごとに1〜5点で決めています。点は上の表の条件に当てはめて付け、ランクを出す平均では「問題の帯域への対処」を2倍の重さで数えています。根拠はメーカー公式の情報です。音質やCPU負荷は実際に測っていないため点数には含めず、専門誌のレビューを記事の中で参考として紹介しています。価格は点数に含めません。メーカーや販売店の説明で確認できない機能は、ないものとして点数を付けています。 表の「OBS(配信)」は、配信ソフトOBS Studioで使えるVST2形式が公式ページに書かれているか(○)です。OBSはVST3形式に対応していません。点数には含めていません。
専門誌の評価(参考・点数には含めていません)
海外の音楽制作誌のレビューで挙げられていた主な点を、編集部が要約しました。
Sound On Sound(2025年2月)
- スペクトル処理で、耳に痛い帯域や共振を効果的に抑えられると評価
- ダイナミックEQの使い道がさらに広がったと評価
- もともと強力で使いやすいEQが、バージョン4で大きく進歩したとまとめている
出典:Sound On Soundのレビュー(英語)
Pro-Q 4の対応環境と始め方
| 対応OS | Windows(11・10など)/Mac(macOS 10.13以降、Apple シリコン・Intel) |
|---|---|
| プラグインの形式 | VST・VST3・AU・CLAP・AAX(Pro Tools) |
| そのほか | iPad版もあり(App Store) |
| 体験版 | 30日間の体験版あり |
| OBS(配信) | そのまま使えます(VST2の記載あり) |
メーカー公式ページで2026年9月27日に確認しました。配信ソフトOBSでの使い方は「OBSでVST3プラグインを使うには?」で解説しています。
ほかのEQプラグインとの比較
見出しを押すと並べ替えできます。スマホでは表を横にスクロールできます。
| 製品 | ランク平均点 | 問題の帯域への対処 | 手早さ | ステレオ処理 | 無料 | OBS(配信) | 価格(店・確認日) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| FabFilterPro-Q 4 | S 4.5 | ダイナミック+スペクトル | EQマッチ+補助 | M/S+サラウンド | — | ○ | ¥34,680 [PB・10月26日確認] |
| soniblesmart:EQ 4 | A 4.0 | ダイナミック | AIで自動補正 | M/S | — | ○ | ¥22,480 [PB・10月26日確認] |
| MeldaProductionMEqualizer | B 2.8 | 6バンド | アナライザー | M/S・左右別・サラウンド | 無料 | ○ | 記載なし |
| MeldaProductionMAutoEqualizer | A 3.8 | リニアフェイズ | 自動EQ+マッチ | M/S・左右別・サラウンド | — | ○ | ¥28,760 [PB・10月26日確認] |
| EventideSplitEQ | A 3.5 | アタック/響き分離 | アナライザー | L/R+M/S | — | ○ | ¥25,300 [PB・10月26日確認] |
| Slate DigitalInfinity EQ 2 | A 3.5 | ダイナミック | アナライザー | M/S+L/R | — | ○ | ¥25,970 [PB・10月26日確認] |
| Tokyo Dawn RecordsTDR Nova | A 3.5 | ダイナミック | アナライザー | M/S+左右別 | 無料 | ○ | 記載なし |
| Universal AudioPultec Passive EQ Collection | C 1.5 | 少ないバンド | 記載なし | 記載なし | — | ×(VST3のみ) | ¥6,815(セール中、通常¥25,970) [PB・10月26日確認] |
| WavesF6 | B 3.0 | ダイナミック | 記載なし | M/S | — | △(Waves公式のStudioRack経由) | ¥6,958(セール中、通常¥25,970) [PB・10月26日確認] |
| Plugin Alliancebx_digital V3 | A 3.8 | ダイナミック | Auto-Solo | M/S+左右別 | — | ○ | ¥10,299 [PB・10月26日確認] |
| Tokyo Dawn RecordsSlickEQ | C 2.3 | 3バンド | オートゲイン | M/S | 無料 | ○ | 記載なし |
| DMG AudioEQuilibrium | A 3.5 | 32バンド+リニアフェイズ | アナライザー+Autolisten | M/S・左右別・サラウンド | — | ○ | 記載なし |
| SoundtheoryGullfoss | B 2.8 | 自動で音の山谷を調整 | 自動EQ+サイドチェイン | 記載なし | — | ○ | $199 [公式・10月26日確認] |
| SonnoxOxford EQ | C 1.5 | 5バンド | 記載なし | 記載なし | — | ×(VST3のみ) | $279.99 [公式・10月26日確認] |
| SonnoxOxford Dynamic EQ | C 2.5 | ダイナミック | 記載なし | 記載なし | — | ×(VST3のみ) | $279.99 [公式・10月26日確認] |
機能は2026年9月25日に各メーカーの公式サイトで確認。価格は購入ボタンの先の販売ページで確認してください。
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