SoundtheoryのEQプラグイン「Gullfoss」は、聴こえ方のモデルをもとに、音を聴き取って自動でバランスを整える「賢いEQ」です。つまみは少なく、明瞭さや定位感を短時間で調整できます。
EQ(イコライザー)は、音の低い・高い成分の量を調整する道具です。こもった声をすっきりさせたり、耳に痛い音を抑えたりするのに使います。
この記事では、EQプラグイン15製品と比べて、目的に対してどれだけ優れているかを3つの項目で評価しています。根拠はメーカー公式の情報です。
※本記事はアフィリエイトプログラムを利用しています。価格・セールの情報は記事の確認日時点のもので、変動する場合があります。

図:SoundBounty
結論
Gullfossは、EQプラグイン15製品の中でランクBです。ランクはS・A・B・Cの4段階で、Bは上から3番目にあたります。項目ごとの点数(5点満点)を平均すると2.8点です(目的にとって大事な1項目は、2倍の重みをつけた平均です)。
得意なこと
- 手早さ(4点):設定を早く決めるための補助機能があり、EQに慣れていなくても始めやすいです。
注意したいこと
- ステレオ処理(1点):真ん中と左右を分けて調整する機能はありません。
こんな方にオススメ:EQの細かい操作が苦手でも、ミックスやボーカルの明瞭さを手早く整えたい人。
Gullfossの主な特徴
聴いて自動で整える「Recover」と「Tame」
Gullfossの中心になるのは、RecoverとTameという2つのつまみです。Recoverは、ほかの音に隠れて聞こえにくくなっている成分を引き出し、Tameは、前に出すぎている成分を抑える、とマニュアルで説明されています。ふつうのEQのようにバンドを1つずつ動かすのではなく、2つのつまみの量を決めるだけで全体のバランスが変わるので、EQに自信がない人でも試しやすいでしょう。
BiasとBrightenで方向を決める
BiasはRecoverとTameのどちらをどれだけ広い範囲に効かせるかを決めるつまみで、Brightenは聴こえ方の明るさのバランスを調整するつまみです。「もう少し明るく」「少し落ち着かせたい」といった方向を、周波数を意識せずに決められます。
1秒に約300回カーブを更新
Gullfossは音を聴き取る計算を1秒に約1000回行い、EQのカーブを約300回更新する、とマニュアルに書かれています。音が変わり続けても追いかけて調整できるので、歌のように音が刻々と変わる素材でも自然に聞こえることを狙った作りです。
用途で選べる3つの版
通常版のGullfossはミックスやマスタリング向けで、遅れは約20msです。Gullfoss Liveはライブやトラッキング(録音)向けで遅れが2ms未満、Gullfoss Masterはマスタリング向けでパラメーターの細かさが増す、と公式ページで説明されています。すべてのユーザーがこの3つを使えます。
別のトラックの音を使うサイドチェイン
バージョン1.9.0から、サイドチェインの入力が加わりました。別のトラックの音を解析に使い、その音に反応してEQを動かせます。たとえば、ボーカルの音を聴かせて、伴奏のほうを必要なときだけ整える、といった使い方が考えられます。ただし、ホストソフトによってはサイドチェインの遅れが補正されないことがあり、その場合は手作業で合わせる必要があります。
こんな場面で役立ちます
- 歌ってみたの完成したミックスに、明瞭さを足す
- こもって聞こえるアコースティックギターのトラックを、手早くすっきりさせる
- ライブ配信の前に、Gullfoss Liveを使って声のバランスを整える
項目ごとの評価
問題の帯域への対処:3点/5点
こもった音や耳に痛い音など、気になる音だけを狙って直せるかを見ています。
聴こえ方のモデルをもとに、EQのカーブを1秒に約300回、自動で変えます。
手早さ:4点/5点
ちょうどいい設定に早くたどり着ける仕組み(自動の設定・お手本の音に合わせる機能など)があるかを見ています。
音を聴き取って、埋もれた成分を持ち上げ(Recover)、目立ちすぎる成分を抑える(Tame)自動のEQです。別のトラックの音を解析に使うサイドチェイン入力もあります。
ステレオ処理:1点/5点
真ん中の音(歌など)と左右に広がる音を分けて調整できるかを見ています。
モノラルとステレオに対応し、マニュアルにはM/S(真ん中と左右の音を分ける方式)に変換した信号にも使えるとあります。
「ステレオ処理」を重視するなら、MAutoEqualizer、EQuilibrium(5点)が向いています。
点数の付け方(EQプラグイン)
| 項目 | 使う数値 | 5点 | 4点 | 3点 | 2点 | 1点 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 問題の帯域への対処 | こもり・耳に痛い音などを狙って抑える力 | ダイナミックEQに加え、帯域の中の特定の周波数だけに反応する処理がある | ダイナミックEQ(音量に応じてかかる)か、アタックと伸びる音を分けて処理できる | バンド数が多い、またはリニアフェイズなど処理の質を選べる静的なEQ | 少ないバンドの静的なEQ | — |
| 手早さ | 設定を速く決める仕組み | AIが音に合わせてバランスを自動で整え、トラック間のかぶりも減らせる | 自動のEQ設定かEQマッチに加え、ほかの補助がある | EQマッチなど、補助が1つある | アナライザー(音の見える化)のみ | 補助の記載がない |
| ステレオ処理 | 中央と左右の広がりなどを分けて処理できるか | M/S・左右別・サラウンドに対応 | M/Sに加えて、左右別かサラウンドに対応 | M/Sのみ | — | 公式ページに記載がない |
ミックスでボーカルやオケの音のバランスを整えるという目的に対して、どれだけ優れているかを項目ごとに1〜5点で決めています。点は上の表の条件に当てはめて付け、ランクを出す平均では「問題の帯域への対処」を2倍の重さで数えています。根拠はメーカー公式の情報です。音質やCPU負荷は実際に測っていないため点数には含めず、専門誌のレビューを記事の中で参考として紹介しています。価格は点数に含めません。メーカーや販売店の説明で確認できない機能は、ないものとして点数を付けています。 表の「OBS(配信)」は、配信ソフトOBS Studioで使えるVST2形式が公式ページに書かれているか(○)です。OBSはVST3形式に対応していません。点数には含めていません。
Gullfossの対応環境と始め方
| 対応OS | Windows 7以降/Mac(macOS 10.9以降、Apple シリコン・Intel) |
|---|---|
| プラグインの形式 | AU・VST・VST3・AAX(64bit) |
| そのほか | ライセンスの認証にiLok License Managerを使う(ドングルは不要) |
| 体験版 | 体験版あり |
| OBS(配信) | そのまま使えます(VST2の記載あり) |
メーカー公式ページで2026年10月17日に確認しました。配信ソフトOBSでの使い方は「OBSでVST3プラグインを使うには?」で解説しています。
ほかのEQプラグインとの比較
見出しを押すと並べ替えできます。スマホでは表を横にスクロールできます。
| 製品 | ランク平均点 | 問題の帯域への対処 | 手早さ | ステレオ処理 | 無料 | OBS(配信) | 価格(店・確認日) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| FabFilterPro-Q 4 | S 4.5 | ダイナミック+スペクトル | EQマッチ+補助 | M/S+サラウンド | — | ○ | ¥34,680 [PB・10月26日確認] |
| soniblesmart:EQ 4 | A 4.0 | ダイナミック | AIで自動補正 | M/S | — | ○ | ¥22,480 [PB・10月26日確認] |
| MeldaProductionMEqualizer | B 2.8 | 6バンド | アナライザー | M/S・左右別・サラウンド | 無料 | ○ | 記載なし |
| MeldaProductionMAutoEqualizer | A 3.8 | リニアフェイズ | 自動EQ+マッチ | M/S・左右別・サラウンド | — | ○ | ¥28,760 [PB・10月26日確認] |
| EventideSplitEQ | A 3.5 | アタック/響き分離 | アナライザー | L/R+M/S | — | ○ | ¥25,300 [PB・10月26日確認] |
| Slate DigitalInfinity EQ 2 | A 3.5 | ダイナミック | アナライザー | M/S+L/R | — | ○ | ¥25,970 [PB・10月26日確認] |
| Tokyo Dawn RecordsTDR Nova | A 3.5 | ダイナミック | アナライザー | M/S+左右別 | 無料 | ○ | 記載なし |
| Universal AudioPultec Passive EQ Collection | C 1.5 | 少ないバンド | 記載なし | 記載なし | — | ×(VST3のみ) | ¥6,815(セール中、通常¥25,970) [PB・10月26日確認] |
| WavesF6 | B 3.0 | ダイナミック | 記載なし | M/S | — | △(Waves公式のStudioRack経由) | ¥6,958(セール中、通常¥25,970) [PB・10月26日確認] |
| Plugin Alliancebx_digital V3 | A 3.8 | ダイナミック | Auto-Solo | M/S+左右別 | — | ○ | ¥10,299 [PB・10月26日確認] |
| Tokyo Dawn RecordsSlickEQ | C 2.3 | 3バンド | オートゲイン | M/S | 無料 | ○ | 記載なし |
| DMG AudioEQuilibrium | A 3.5 | 32バンド+リニアフェイズ | アナライザー+Autolisten | M/S・左右別・サラウンド | — | ○ | 記載なし |
| SoundtheoryGullfoss | B 2.8 | 自動で音の山谷を調整 | 自動EQ+サイドチェイン | 記載なし | — | ○ | $199 [公式・10月26日確認] |
| SonnoxOxford EQ | C 1.5 | 5バンド | 記載なし | 記載なし | — | ×(VST3のみ) | $279.99 [公式・10月26日確認] |
| SonnoxOxford Dynamic EQ | C 2.5 | ダイナミック | 記載なし | 記載なし | — | ×(VST3のみ) | $279.99 [公式・10月26日確認] |
機能は2026年9月25日に各メーカーの公式サイトで確認。価格は購入ボタンの先の販売ページで確認してください。
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