Tokyo Dawn RecordsのEQプラグイン「SlickEQ」は、3バンド+ハイパスで、4つのEQモデルと5種類の出力段の質感を選べる無料のEQです。使いやすさと音の温かみを重視して作られています。
EQ(イコライザー)は、音の低い・高い成分の量を調整する道具です。こもった声をすっきりさせたり、耳に痛い音を抑えたりするのに使います。
この記事では、EQプラグイン15製品と比べて、目的に対してどれだけ優れているかを3つの項目で評価しています。根拠はメーカー公式の情報です。
※本記事はアフィリエイトプログラムを利用しています。価格・セールの情報は記事の確認日時点のもので、変動する場合があります。

図:SoundBounty
結論
SlickEQは、EQプラグイン15製品の中でランクCです。ランクはS・A・B・Cの4段階で、Cはいちばん下にあたります。項目ごとの点数(5点満点)を平均すると2.3点です(目的にとって大事な1項目は、2倍の重みをつけた平均です)。
注意したいこと
- 問題の帯域への対処(2点):気になる音だけを自動で抑える機能はなく、基本的な音の調整が中心です。
- 手早さ(2点):設定は自分の耳で決める必要があります。
こんな方にオススメ:無料で、手早くEQをかけつつ、アナログ機材らしい色付けも足してみたい人。
SlickEQの主な特徴
性格の違う4つのEQモデル
SlickEQは、低音・中音・高音の3つのバンドを動かすだけのシンプルなEQですが、その裏側に「American」「British」「German」「Soviet」という4つのEQモデルを持っています。モデルを切り替えると、同じつまみの位置でもカーブの形や効き方が変わる、とメーカーは説明しています。まず好みのモデルを選んでからつまみを動かす、という流れなので、EQに慣れていない人でも音の違いをつかみやすいでしょう。
出力段で選べる5つの質感
EQのあとに通る出力段には「Linear」「Silky」「Mellow」「Deep」「Toasted」の5つがあり、自分でサチュレーション(音をやわらかく歪ませて温かみを足す処理)を選べます。メーカーは、はっきりした歪みではなく、上質な機材にあるような「ほのかな味付け」を狙ったものと説明しています。EQをかけると同時に少しだけ音の表情を変えたい、といった使い方に向いていそうです。
聴き比べを助けるオートゲイン
EQで音を持ち上げると、音質が良くなったのではなく単に音量が大きくなっただけ、という錯覚が起きがちです。SlickEQのオートゲインは、聴こえ方の音量の変化を自動で補正してくれる機能です。かける前とかけた後を同じくらいの音量で聴き比べやすくなるので、やりすぎを防ぐ助けになります。
ステレオの「和」か「差」だけをEQ
真ん中に寄った成分(和)か、左右の広がりの成分(差)のどちらかだけにEQをかけるモードがあります。たとえば、広がりの成分の高音だけを少し持ち上げて、真ん中の歌はそのままにする、といった使い方が考えられます。内部は64bitの処理で、高音がゆがんだり折り返したりしにくい作りだとメーカーは説明しています。
上位版「SlickEQ GE」
有料のGentleman’s Edition(GE)では、リアルタイムのアナライザー、追加のフィルターモード、色の選択、細かく調整できるTiltフィルターが加わります。まず無料版で使い心地を試し、足りなくなったら上位版を検討する、という選び方ができます。
こんな場面で役立ちます
- 歌ってみたのボーカルに、軽く高音を足しつつ温かい色付けもしたい
- ギターやピアノなどのトラックを、手早く3バンドで整えたい
- ミックス全体の広がり(差の成分)だけを少し調整してみたい
項目ごとの評価
問題の帯域への対処:2点/5点
こもった音や耳に痛い音など、気になる音だけを狙って直せるかを見ています。
3つのバンド(低・中・高のセミパラメトリック)とハイパスフィルターの静的なEQです。ダイナミックEQ(音が大きくなったときだけ効くEQ)ではありません。
「問題の帯域への対処」を重視するなら、Pro-Q 4(5点)が向いています。
手早さ:2点/5点
ちょうどいい設定に早くたどり着ける仕組み(自動の設定・お手本の音に合わせる機能など)があるかを見ています。
EQで変わった聴こえの音量を自動でそろえるオートゲインがあります。
「手早さ」を重視するなら、smart:EQ 4(5点)が向いています。
ステレオ処理:3点/5点
真ん中の音(歌など)と左右に広がる音を分けて調整できるかを見ています。
ステレオの「和」(真ん中寄り)か「差」(広がり)だけを処理するモードがあります。
点数の付け方(EQプラグイン)
| 項目 | 使う数値 | 5点 | 4点 | 3点 | 2点 | 1点 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 問題の帯域への対処 | こもり・耳に痛い音などを狙って抑える力 | ダイナミックEQに加え、帯域の中の特定の周波数だけに反応する処理がある | ダイナミックEQ(音量に応じてかかる)か、アタックと伸びる音を分けて処理できる | バンド数が多い、またはリニアフェイズなど処理の質を選べる静的なEQ | 少ないバンドの静的なEQ | — |
| 手早さ | 設定を速く決める仕組み | AIが音に合わせてバランスを自動で整え、トラック間のかぶりも減らせる | 自動のEQ設定かEQマッチに加え、ほかの補助がある | EQマッチなど、補助が1つある | アナライザー(音の見える化)のみ | 補助の記載がない |
| ステレオ処理 | 中央と左右の広がりなどを分けて処理できるか | M/S・左右別・サラウンドに対応 | M/Sに加えて、左右別かサラウンドに対応 | M/Sのみ | — | 公式ページに記載がない |
ミックスでボーカルやオケの音のバランスを整えるという目的に対して、どれだけ優れているかを項目ごとに1〜5点で決めています。点は上の表の条件に当てはめて付け、ランクを出す平均では「問題の帯域への対処」を2倍の重さで数えています。根拠はメーカー公式の情報です。音質やCPU負荷は実際に測っていないため点数には含めず、専門誌のレビューを記事の中で参考として紹介しています。価格は点数に含めません。メーカーや販売店の説明で確認できない機能は、ないものとして点数を付けています。 表の「OBS(配信)」は、配信ソフトOBS Studioで使えるVST2形式が公式ページに書かれているか(○)です。OBSはVST3形式に対応していません。点数には含めていません。
SlickEQの対応環境と始め方
| 対応OS | Windows 7以降/Mac(OS X 10.9以降)。OpenGL対応が必要 |
|---|---|
| プラグインの形式 | Windows:VST2・VST3・AAX/Mac:VST2・VST3・AU・AAX |
| 無料版 | 無料(解析表示などを足した有料版「SlickEQ GE」もあり) |
| OBS(配信) | そのまま使えます(VST2の記載あり) |
メーカー公式ページで2026年10月17日に確認しました。配信ソフトOBSでの使い方は「OBSでVST3プラグインを使うには?」で解説しています。
ほかのEQプラグインとの比較
見出しを押すと並べ替えできます。スマホでは表を横にスクロールできます。
| 製品 | ランク平均点 | 問題の帯域への対処 | 手早さ | ステレオ処理 | 無料 | OBS(配信) | 価格(店・確認日) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| FabFilterPro-Q 4 | S 4.5 | ダイナミック+スペクトル | EQマッチ+補助 | M/S+サラウンド | — | ○ | ¥34,680 [PB・10月26日確認] |
| soniblesmart:EQ 4 | A 4.0 | ダイナミック | AIで自動補正 | M/S | — | ○ | ¥22,480 [PB・10月26日確認] |
| MeldaProductionMEqualizer | B 2.8 | 6バンド | アナライザー | M/S・左右別・サラウンド | 無料 | ○ | 記載なし |
| MeldaProductionMAutoEqualizer | A 3.8 | リニアフェイズ | 自動EQ+マッチ | M/S・左右別・サラウンド | — | ○ | ¥28,760 [PB・10月26日確認] |
| EventideSplitEQ | A 3.5 | アタック/響き分離 | アナライザー | L/R+M/S | — | ○ | ¥25,300 [PB・10月26日確認] |
| Slate DigitalInfinity EQ 2 | A 3.5 | ダイナミック | アナライザー | M/S+L/R | — | ○ | ¥25,970 [PB・10月26日確認] |
| Tokyo Dawn RecordsTDR Nova | A 3.5 | ダイナミック | アナライザー | M/S+左右別 | 無料 | ○ | 記載なし |
| Universal AudioPultec Passive EQ Collection | C 1.5 | 少ないバンド | 記載なし | 記載なし | — | ×(VST3のみ) | ¥6,815(セール中、通常¥25,970) [PB・10月26日確認] |
| WavesF6 | B 3.0 | ダイナミック | 記載なし | M/S | — | △(Waves公式のStudioRack経由) | ¥6,958(セール中、通常¥25,970) [PB・10月26日確認] |
| Plugin Alliancebx_digital V3 | A 3.8 | ダイナミック | Auto-Solo | M/S+左右別 | — | ○ | ¥10,299 [PB・10月26日確認] |
| Tokyo Dawn RecordsSlickEQ | C 2.3 | 3バンド | オートゲイン | M/S | 無料 | ○ | 記載なし |
| DMG AudioEQuilibrium | A 3.5 | 32バンド+リニアフェイズ | アナライザー+Autolisten | M/S・左右別・サラウンド | — | ○ | 記載なし |
| SoundtheoryGullfoss | B 2.8 | 自動で音の山谷を調整 | 自動EQ+サイドチェイン | 記載なし | — | ○ | $199 [公式・10月26日確認] |
| SonnoxOxford EQ | C 1.5 | 5バンド | 記載なし | 記載なし | — | ×(VST3のみ) | $279.99 [公式・10月26日確認] |
| SonnoxOxford Dynamic EQ | C 2.5 | ダイナミック | 記載なし | 記載なし | — | ×(VST3のみ) | $279.99 [公式・10月26日確認] |
機能は2026年9月25日に各メーカーの公式サイトで確認。価格は購入ボタンの先の販売ページで確認してください。
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