プラグインを買おうとして、製品ページに「VST3, AU, AAX」と並んでいるのを見て、何が違うのか分からなくなった経験はありませんか。実は、この並びは「そのプラグインを、どのDAW(音楽制作ソフト)で使えるか」を示しています。この記事では、VST3・VST2・AU・AAX・CLAPの5つの形式を、初心者向けにやさしく整理します。DAWごとの対応も、各メーカーの公式ページに書かれていることだけを紹介します。
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結論:自分のDAWが読み込める形式のプラグインを選べばOK
- プラグインの形式は「差し込み口の形」のようなものです。DAWが対応している形と、プラグインの形が合っていないと、読み込めません。
- Windowsで多くのDAWを使うなら、まずVST3を確認します。Macで使うなら、VST3かAUのどちらかがあれば足りることが多いでしょう。
- Pro Toolsだけは別で、Avidの公式ヘルプによるとAAX形式(64ビット)が必要です。
- 買う前に、製品ページの「対応形式」の欄と、自分のDAWのマニュアルの対応形式を見比べてください。
そもそもプラグイン形式とは
プラグインは、DAWの中で動く小さなソフトです(コンプレッサー、EQ、リバーブなど)。DAWとプラグインが会話するには、決まりごと(規格)が必要です。この規格の名前が「プラグイン形式」です。たとえるなら、コンセントの形のようなもので、形が違えば差し込めません。
同じ製品でも、メーカーが複数の形式を用意していることがよくあります。インストーラーで形式を選べる製品もあります。
5つの形式をそれぞれ説明
VST3(ブイエスティー・スリー)
Steinberg(ドイツの音楽ソフト会社)が作った規格です。Steinbergの開発者向けページでは、VST(Virtual Studio Technology)を「シンセサイザーやエフェクトをDAWの中で使うためのプラグインのインターフェース」と説明しています。VST3はその3代目にあたる規格です。新しいプラグインは、VST3だけで配られるものも増えています。
VST2(ブイエスティー・ツー)
VSTの1つ前の世代です。製品ページに「VST」とだけ書かれているときは、多くの場合このVST2を指します(「VST」と「VST3」が別々に書かれていれば、前者がVST2です)。古い規格ですが、いまも対応しているDAWは多くあります。ただしSteinbergは、CubaseのヘルプでVST2のプラグインをVST3版に置き換えることをすすめています。新しく買うなら、VST3があるものを選ぶほうが無難でしょう。
AU(エーユー、Audio Units)
Appleが作ったMac専用の規格です。AppleのLogic Proのガイドには、2種類が出てきます。ひとつは従来型の「Audio Units」(AUv2)で、もうひとつは「Audio Unit Extensions」(AUv3)です。Logic Proではどちらも使えると書かれています。WindowsにはAUはありません。
AAX(エーエーエックス)
Avid(Pro Toolsの会社)の規格です。Avidの公式ヘルプには、Pro Tools 12以降はAAX形式で64ビットのプラグインが必要だと書かれています。Pro Toolsを使うなら、製品ページにAAXの記載があるかを必ず確認してください。
CLAP(クラップ)
CLever Audio Plug-inの略で、比較的新しい規格です。CLAPの公式サイトでは、DAWとプラグインが一緒に動くための標準として説明されています。配布ページを見ると、MITライセンスのオープンな規格で、誰でも使えるものです。対応するDAWやメーカーはまだ限られていて、CLAP公式の一覧(2024年11月時点)には、Bitwig Studio、REAPER、FL Studio、Studio Oneなどが載っています。
主なDAWごとの対応形式(公式に書かれているもの)
以下は、2026年10月17日に各メーカーの公式ページで確認した内容です。ここに載せていない形式は、「対応しない」という意味ではなく、今回は公式ページで確認できなかったということです。購入前には、お使いのバージョンのマニュアルで最新の情報を見てください。
| DAW | 公式に書かれている対応形式 | 確認したページ |
|---|---|---|
| Ableton Live(バージョン12のマニュアル) | VST2、VST3、Audio Units 2、Audio Units 3(Live 11.2以降)。Audio UnitsはmacOSのみ | Ableton公式マニュアル「Using Plug-Ins」 |
| Cubase Pro 15 | VST2とVST3。64ビットのプラグインのみ。VST3への置き換えがすすめられている | Steinberg公式ヘルプ |
| Logic Pro(Mac) | Audio Units(AUv2)とAudio Unit Extensions(AUv3) | Apple公式のユーザーガイド |
| Pro Tools | Pro Tools 12以降は、AAX形式の64ビットのプラグインが必要 | Avid公式ナレッジベース |
| FL Studio | Windows版:VST 1/2、VST3、CLAP、FL Studio独自の形式(32・64ビット)。Mac版:VST 1/2、VST3、AU、CLAP、独自の形式(64ビット) | Image-Line公式マニュアル「Plugin Standards」 |
| REAPER | VST、VST3、LV2、AU、CLAP、DX、JSをサポート | Cockos公式サイト |
CLAP公式の一覧にはBitwig StudioやStudio Oneも載っています。それ以外の形式については、各DAWのマニュアルを見てください。
Pro Toolsについては、Avidの公式ヘルプにAAX形式が必要と書かれています。Pro Toolsを使う人は、製品ページにAAXの記載があるかを特に確認してください。
買う前の確認ポイント
1. 自分のDAWの名前とバージョンを確認する
まず、お使いのDAWと、そのバージョン、OS(WindowsかMacか)を確認します。DAWのマニュアルの「プラグイン」の章に、対応形式が書かれています。
2. 製品ページの「対応形式」と見比べる
メーカーの製品ページ(System Requirements、仕様、対応環境などの欄)に、「VST3, AU, AAX」のように形式が書かれています。自分のDAWが読める形式が1つでも入っていれば、基本的には使えます。
3. 32ビットか64ビットか
CubaseとPro Toolsの公式ページには、64ビットのプラグインが必要だと書かれています。いまのDAWは64ビットが主流なので、新しいプラグインならあまり心配はいりませんが、古いプラグインを使うときは注意が必要です。
4. Apple シリコンのMacかどうか
Macでは、CPUがIntelかApple シリコンかで、動くプラグインが変わることがあります。Avidのナレッジベースにも、Apple シリコンに対応したAAXプラグインの案内があります。Apple シリコンのMacを使う人は、製品ページの対応OSの欄もよく確認してください。
5. 認証の仕組みも見る
形式が合っても、iLokなどの認証が必要な製品があります。認証については「iLokとは?」で説明しています。
形式が合っているのにプラグインが出てこないとき
- インストールのときに形式を選べたか:VST3だけを入れて、VST2を入れていない(またはその逆)ことがあります。インストーラーで形式にチェックが入っているか見直します。
- DAWを再起動、または再スキャンする:Abletonのマニュアルには、DAWを起動中にプラグインを入れても、次に起動するまで反映されないことがあると書かれています。再スキャンの機能もあります。
- 保存場所:Logic Proでは、AUv2は Library/Audio/Plug-ins/Components、AUv3はApplicationsフォルダーに入ります(Apple公式)。DAWによって探す場所が決まっているので、設定で確認します。
- Logic Proのプラグインマネージャー:Appleのガイドでは、プラグインマネージャーで有効になっているか確認し、必要なら再スキャンするように案内しています。
インストールの流れは「セールや無料プレゼントで買ったプラグインのインストール方法」にもまとめています。配信ソフトのOBSでVST3を使いたい場合は「OBSでVST3プラグインを使うには?」を読んでください。
よくある質問
Q. VST3とVST2、両方ある場合はどちらを入れる?
お使いのDAWがVST3に対応しているなら、VST3をおすすめします。SteinbergもCubaseのヘルプで、VST2をVST3に置き換えることを推奨しています。古いDAWや、VST2しか読み込めない配信ソフトなどでは、VST2が必要になることもあります。
Q. WindowsでもAUは使えますか?
AUはAppleが作ったMac用の規格です。AbletonのマニュアルでもAudio UnitsはmacOSのみと書かれています。Windowsでは、VST3などを使います。
Q. 1つの製品を買えば、全部の形式が使えますか?
多くの製品は、1つのライセンスで複数の形式を同時にインストールできますが、製品によって異なります。製品ページの対応形式の欄を見てください。
Q. CLAPは今すぐ必要ですか?
必須ではありません。CLAPの公式サイトでも、対応するDAWやメーカーは「まだ全部ではない」という扱いの一覧です(2024年11月時点)。自分のDAWがCLAPに対応していて、気になるプラグインにCLAP版があるときに使う、くらいで十分でしょう。
Q. 形式が合わない製品を買ってしまったら?
返品や返金の可否は販売店ごとに違うので、買う前に対応形式を確かめるのが一番確実です。


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