オーディオインターフェースにはマイク入力にプリアンプが内蔵されていますが、機材が増えてくると「外付けのマイクプリアンプ」という言葉を目にする機会が増えます。この記事では、マイクプリアンプの基本的な役割と、内蔵プリでは足りなくなる場面、接続順の注意点を整理し、2026年10月19日時点で日本国内から購入できる代表的な外付けプリを価格つきで紹介します。
※本記事はアフィリエイトプログラムを利用しています。価格は記事の確認日時点のもので、変動する場合があります。
マイクプリアンプとは何か

図:SoundBounty
マイクが拾う音の電気信号(マイクレベル)は非常に小さく、そのままではDAWで扱える大きさ(ラインレベル)に届きません。この小さな信号を増幅する回路がマイクプリアンプです。オーディオインターフェースの「マイク入力」「GAIN」つまみの奥には、必ずこのプリアンプ回路が入っています。つまり、宅録用のオーディオインターフェースを使っている時点で、すでに何らかのマイクプリアンプを通していることになります。詳しい選び方は「オーディオインターフェースの選び方ガイド」でも解説しています。
内蔵プリと外付けプリの違い
オーディオインターフェース内蔵プリでできること
近年のエントリー〜ミドルクラスのオーディオインターフェースは、内蔵プリだけでも一般的なコンデンサーマイク・ダイナミックマイクの録音に十分なゲイン幅を備えています。ボーカルやアコースティックギターを1〜2本録る程度であれば、まず内蔵プリで問題なく録音できます。
外付けプリが必要になる場面
一方で、次のような場面では外付けのマイクプリアンプが選択肢に入ってきます。
- ゲイン不足:Shure SM7Bのような感度の低いダイナミックマイクは出力が小さく、内蔵プリのゲインを目一杯まで上げても音量が足りないことがあります。ゲイン幅の広い外付けプリや、後述するインラインブースターで補う方法があります。
- ノイズ:内蔵プリのゲインを限界近くまで上げると、サーというノイズが目立ちやすくなる場合があります。ゲインに余裕のある外付けプリで手前の段階で信号を持ち上げておくと、結果的にSN比(信号とノイズの比率)が改善するとされています。
- 音のキャラクター:真空管やトランスを使った外付けプリは、メーカーごとに「太さ」「サチュレーション感」などの音の個性づけがされていると説明されることが多く、内蔵プリのクリーンな増幅とは異なる音の変化を狙って使われます。
- 入力数の拡張:内蔵プリの数を超えて複数マイクを同時録音したい場合、マルチチャンネルの外付けプリと組み合わせることで入力を増やせます。
ファンタム電源との関係
コンデンサーマイクを動かすには+48Vのファンタム電源が必要です。オーディオインターフェース単体で使う場合はインターフェース側の+48Vスイッチをオンにしますが、外付けプリを間に挟む場合は、ファンタム電源は外付けプリ側から供給します。マイクを外付けプリに挿し、プリ側の+48Vをオンにするのが基本の使い方で、オーディオインターフェース側のファンタム電源はオフのままにします。プリの出力をインターフェースのライン入力につなぐ構成では、インターフェース側にファンタム電源は不要です。
接続順:マイク→外付けプリ→オーディオインターフェースのライン入力
外付けプリを使うときの基本の接続順は、マイク→外付けマイクプリアンプ→オーディオインターフェースのライン入力です。プリの出力はすでにラインレベルまで増幅されているため、オーディオインターフェースの「マイク入力(プリアンプを通る経路)」ではなく、「ライン入力」に接続します。マイク入力に接続してしまうと、インターフェース側のプリでもう一段増幅されることになり、信号が大きくなりすぎて歪んだり、意図しないキャラクターが重なったりする原因になります。
ゲインの設定は、外付けプリ側でおおまかな音量を作り、オーディオインターフェースのライン入力トリムは0dB付近(ユニティゲイン)を基準に微調整する、という役割分担で考えるとわかりやすくなります。
代表的な外付けマイクプリアンプ
価格は2026年10月19日に楽天市場で確認した、新品で型番が一致する出品のうちいちばん安い価格(税込・送料は店舗により異なる)です。
| モデル | 楽天市場の価格(2026/10/19確認) | 特徴 |
|---|---|---|
| dbx 286s | 41,800円(楽天市場) | プリアンプにコンプ・ディエッサー・エキスパンダーを1台にまとめたチャンネルストリップ。+48V対応、80Hzハイパスフィルター |
| Golden Age Project PRE-73 Jr mk2 | 43,800円(楽天市場) | ゲイン20〜70dB、トランスバランスのディスクリート回路。ビンテージ機の質感を意識した設計とされる |
| Warm Audio WA12 MKII | 127,578円(楽天市場・出品1件) | ゲイン最大71dB、CineMagトランスを使ったディスクリート回路 |
| oz design OZ-3360 | 113,400円(楽天市場) | ゲイン16〜56dB、オプチカルコンプレッサーを1台に内蔵した国産プリアンプ。コンプをオフにすればプリアンプ単体としても使用可能 |
OZ-3360は当サイトで実機レビューを予定しています(oz design OZ-3360のレビュー記事)。
なお、SM7Bのようなゲイン不足になりやすいマイク向けには、Cloud Microphone Cloudlifter CL-1のような、プリアンプ機能を持たずにファンタム電源を利用して信号だけを持ち上げる「インラインブースター」という選択肢もあります。フルサイズのプリアンプほど個性はつきませんが、内蔵プリのゲイン不足だけを手軽に解消したい場合に使われます。ダイナミックマイクとコンデンサーマイクの感度の違いについては「ダイナミックマイクとコンデンサーマイクの違い」でも解説しています。
各製品の販売ページ
- dbx 286s:楽天市場で見る
- Golden Age Project PRE-73 Jr mk2:楽天市場で見る
- Warm Audio WA12 MKII:楽天市場で見る
- oz design OZ-3360:楽天市場で見る
- Cloud Microphone Cloudlifter CL-1:楽天市場で見る
よくある質問
Q. 内蔵プリだけで十分な人は?
一般的な感度のコンデンサーマイクやダイナミックマイクを1〜2本、静かな環境で録音する程度であれば、まずは内蔵プリで十分なケースが多いとされています。ゲイン不足やノイズが気になり始めてから、外付けプリの導入を検討する順番で問題ありません。
Q. 外付けプリを追加すると音質は必ず良くなる?
ゲインに余裕が生まれることでノイズが減る、狙った音のキャラクターが得られるといった効果はありますが、「必ず音質が上がる」と断定できるものではありません。マイクとの組み合わせや録音環境によって効果の感じ方は変わるとされています。
Q. 外付けプリとオーディオインターフェースの両方にファンタム電源スイッチがある場合は?
マイクを外付けプリに挿している場合は、プリ側の+48Vのみオンにし、オーディオインターフェース側はオフにします。両方オンにする必要はありません。
Q. dbx 286sのようなチャンネルストリップは何が違う?
チャンネルストリップは、プリアンプにコンプレッサーやディエッサーなどの処理を組み合わせた製品です。プリアンプ単体の製品よりも機能が多く、配信や宅録でかけ録りをしたい人に向いています。
まとめ
マイクプリアンプは、マイクの小さな信号を増幅する回路で、オーディオインターフェースには標準で内蔵されています。ゲイン不足やノイズ、音のキャラクターづけが気になってきたら、外付けプリの追加が選択肢になります。導入する際は、マイク→外付けプリ→オーディオインターフェースのライン入力という接続順と、ファンタム電源をどちらから供給するかを間違えないようにしましょう。価格は変動するため、購入前に各ショップの最新価格を確認してください。


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